ゾンビの黙示録

ゾンビについて墓地墓地とつづって逝きます

世界に一枚のゾンビ【MTGゾンビ雑談 その2】 

 

 憧れのカードの条件

誰にだって、1枚は、きっと

カードゲーマーにとって特別なカードというのはたくさんあると思います。たとえばそのTCGを象徴するような伝説的カードなどは、分かりやすく万人の憧れの的になり続けていると言えるでしょう。そしてそんなカードはどの界隈にも必ず存在します。ブラックロータス、ブルーアイズ、リザードン…もちろん他にもたくさん。それらは誰もが欲しいし、誰もが憧れるすごいカードたちです。

 

しかし、これらのようにその価格や物語や希少性から、一生のうちで入手できないような幻のカードだけが特別な存在であるというわけではありません。あたり前のことですがプレイヤー・コレクターの一人一人に、その人にとっての特別なカードというものが存在します。

 

たとえば、それは使っていてとても楽しいカードだったり、今の環境から考えればとてつもなく弱いけれど当時少年・少女だった私たちを夢中にさせた青春のカードだったり、好きなイラストレーターの描いたアートのカードだったり、突拍子もないエラーカードだったり、純粋にプレイしていて強いカードだったり。

 

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客観的な尺度で測れるような「強さ」や「希少性」や「美しさ」がすべてなのではなく、そのカードに対するその人固有の想いがごく普通のカードを“特別”な1枚へと結晶化させていくということです。

 

あの頃カードからは魔法と畳の匂いがした

たとえばですが、私なんかの場合、第五版の白枠で細めの怪しいフォントの《チャブ・トード》なんかを見ると、当時“ギャザ”漬けだった少年時代が一気に思い出されます。このクリーチャーは間違いなく魔法の世界の生き物でした。そしてあの頃の思い出はいつも祖母の畳の部屋の香りとともにフラッシュバックするのです。これも十分に“特別”な一枚と言えます。

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 チャブ・トード、チャブ・トード、
ドアの外。
急いで逃げないと、
もう、逃げられない。――― 古くから伝わる童謡.

フレイバーもイラストもほんとうに大好きです。

 

好きな理由は「好きだから」

さて、そんな特別な一枚のために我々カードゲーマーは猛烈なを注ぎ込みます。しかしながら時としてその行きすぎた“愛”は他の人にとっては理解が難しい場合もあるかもしれません。

 

「そんな弱いカードに大枚はたくならコレを買った方がいい」だの「将来的に値下がる可能性の低いアレを抑えた方がいい」だの言われる場合さえあるかもしれません。しかしTCGを愛している人間からすればこれら外野の声がどれたけ野暮でツマラナイものかすぐに分かるはずです。そしてただちに声を大にして叫ぶはず。「俺には/私には、このカードが今すぐにでも必要なんだ」と。

 

私はこれこそTCGの大きな魅力のひとつであると信じて疑いません。誰になんと言われようが自分の好きなものをただひたすらに集めたり、どうにか工夫してデッキに組み込んだり、ときには別の形でなにかを表現したりするのに用いたり。なぜと理由を聞かれても「好きだから」。最高じゃないですか。

 

今日もどこかで自分の好きなカードを好きなだけ集め、それを並べて眺めてはニヤニヤしている人間がこの世界にいると妄想するのは、とても愉快で素敵なことです。そして私はそんな人たちの(行きすぎた)コレクションを観ることや、(行きすぎた)こだわりを聞いたりしたいと常に思っております。なぜならそれは間違いなく楽しいものだからです。

 

 

私の場合

けっきょくスケイズ

さて、かくいう私はゾンビのヲタクをやっております。

MTGに限らず、シンプルに広義の意味でのゾンビ・コンテンツを愛している人間です。映画やマンガはもちろんのこと、小説やフィギュア、そしてもちろんMTGのゾンビも大好きです。中でも私が愛してやまないカードが《スケイズ・ゾンビ》というカードです。「なんだそのカード?」と思われた方は、なぜ私がこのカードを好きなのかこちらの記事にあるので読んで頂ければ幸いです。

zombiesblog.hatenablog.com

 このスケイズ君、普通の人にとってはストレージで10円で売られているただのザココモンカードです。しかし私にとっては上の記事にあるようにとても特別な愛しいカードなのです。全言語収集に乗り出すほどこのカードが好きです。

 

 

この世には超絶レアなスケイズが2枚ある?

そんなスケイズ・ゾンビというカードですが、実はとても希少度の高いバージョンが存在しています。

 

ひとつは、これはご存じの方も多いと思いますが、サマーマジックやエドガーと呼ばれるものがそれです。長くなるので詳述はしませんが、簡単に言うと破棄するはずのセットが手違いで流通してしまったもので、その流通量はとてつもなく少ないことがわかっています。カードにもよりますが本来なら10円くらいの価値しかないコモンのカードでも、ひとたびサマー版になれば5万円はくだらない価格がついたりします。それほど希少価値の高いものなわけです。

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 サマーマジック - MTG Wiki

 詳しくはこちら↑をどうぞ。

 

そしてもう一つ、サマーと同じようにとても貴重なバージョンがあります。それが、第七版の中国語絵違い版です。そんな版はじめて聞いたぞ、という方のためにWikiからの引用を下記にいたします。

2008年まで中国語版では法律上、イラストに骸骨の絵を使用することが禁じられていた。そのため、骸骨を含むイラストのカードは他の言語とは違う特別なイラストが使用されることがあった。 

七版のスケイズ・ゾンビをみて見ましょう。

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死者的な朽ちた肉体の存在が兵士を沼に引きずり込むイラストが描かれております。上に引用した理由からこれはイカンというわけで別イラストが用意されました。それが中国語絵違い版というわけです。

 

世界に一枚…?

当然中国語版だけに用意されたイラストということで、その流通枚数は一気に少なくなります。しかしながら通常版は現在でも普通に買い求めることはできます。

 

そう、問題はfoil版です。

 

これが本当に出回らない。

しかも七版のfoilですので今のようにパックを剥けばバカバカ光る時代の代物ではなく、本当にfoilが希少だった時代のものですからね。当然その数はさらに絞られていきます。

 

では、それのPSA最高評価の10となったらどうなるのでしょうか?

パックを剥いてそのまま鑑定に出しても10を獲得するのは難しいとされています。上記の理由で発行枚数は激少なカードのPSA10となると相当なハードルになります。

 

 

しかしそれは現在、奇跡的に世界に一枚だけ存在しております。

 

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 そして、そのカードは今、奇跡的に私の手元にあります

 

 

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このたびめでたく世界に一枚のスケイズ・ゾンビのオーナーになりました!

 

 

なんと…なんと神々しい。

そしてなんてかわいいんでしょう。

いつかは手に入れたいと思っていたスケイズ・ゾンビの中国語絵違いfoil…ついに入手することができました!

 

スケイズコレクターの私の感覚ではありますが、おそらくスケイズ・ゾンビのなかでもっとも入手難易度が高いのがこの中国語絵違いfoil(美品)だと思われます。希少度で言えばおそらくサマーよりも市場在庫は少ないのではと思っております(もちろん私見です)。実際サマーは結構流通しており、eBayやCardmarketではチラホラ出品されているのを目撃します。

 

この中国語絵違い版foilのスケイズですが、実は半年くらい前に一度PSA9が売られているのを見たことはありました(PSA鑑定上は世界に二枚存在してます)。しかしそのときは予算的の都合で購入を断念しました。

 

しかし今回、まさかのその上をいく最高評価10が売られているのを発見。これを逃したら今後このレベルの逸品に出会える確率はほぼ0%に近いと直感的に悟ったため、PSA9よりももっと高額でしたが思いきって購入しました。結果、私にとって今まで買ったカードの中でもちろん郡を抜いて高価な一枚になりました。

 

自分にとって大切なカードの、世界に一枚しかない物を手に入れられる。こんな経験はそう簡単にできるものではありません。いま手元にあるスケイズ・ゾンビを眺めて思うのは、値段こそ私にとっては清水の舞台から飛び降りるような覚悟が必要だったものでしたが、不思議とまったくもって何一つ後悔していないということです。それどころか本当に良い買い物をしたと自分を誉めてやりたいくらいの気持ちでいます。

 

他の人から見れば、このカードは大した魅力を放っていないものとうつるかもしれません。ちょっとニッチでマニアックなだけのカード程度のものでしょう。けれども私にとっては何物にも代えがたい一枚です。本当に究極の一枚だと思っています。上に挙げたサマー版のPSA10があったとしても、個人的にはこのカードを凌駕する魅力があるかと言われればそれは判断に難しいところです(フォイラーなもので…笑)。

 

そのくらいこのカードは私にとって特別なものであり続けていました。私のなかでのスケイズ・ゾンビのトップオブトップを手に入れてしまったのです。こんなもの嬉しいどころの騒ぎじゃありません。最近は半狂乱で日々を過ごしております。

 

自分の愛してやまないカードの、究極の一枚を手に入れられる日がこんなに早く来るとは思ってもいませんでした。一生大切にしていこうと思います。まだまだスケイズ・コレクターの道のりは長いですが、この一枚を入手できたのはだいぶ大きな一歩でした。今後もスケイズ君を求めてさまよい続けようと思います。

 

スケイズ・ゾンビよ、永遠なれ!